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2012年5月3日

Gatos Aptを建てた訳

 
チーが連れてきた仔猫
2005年ごろ、私たち夫婦は(当時は「同棲」でしたが)東京の高井戸に2階建てのテラス・ハウスを借り、住んでいました。
小さい庭があり、お隣の庭を借景として望める良い賃貸で、引越した時
からノラ猫が遊びに来ました。恐らく前の住人が餌付けをしていたのでしょう。残念ながら、そのテラス・ハウスはペット不可物件。大家さんや近隣の方々に申し訳ない、と思いながら猫好きな我々は、内緒で時折、猫たちに食事を与えていました。
目ヤニで目が見えなくなってます。
5月のゴールデンウィークが明けたある日、いつものようにノラ猫のチーがやってきました。どうやら子供を産んだらしく、1匹だけ連れて。その仔猫は両目が目ヤニで覆われ、目が見えない状態でした。食事もちゃんと取れていないようで弱々しく、今にも死にそうでした。これは一大事!と、その仔猫を保護し動物病院へ連れて行きました。手術を行い、目は見えるようになりましたが、しばらくは保護が必要です。ペット不可の物件でしたが、仕方なく内緒で「一時的に」保護することにしました。

近所の動物病院で2回の手術。小さいのに頑張って、見えるようになりました。

大雪が降ったある冬の日、仔猫を心配して頻繁に通う親猫チーも、家に入れてあげました。

チーが産んだ仔猫たち。みんな、かわいい。
チーは2階の部屋へ行って、なかなか降りてきませんでした。心配した妻が2階から素っ頓狂な声を上げました。
なんと!

ベッドの脇で出産をしていたのです!
チーは3匹の仔猫を産みました。

こうして「ペット不可物件」に、5匹の猫を匿ってやらなければならない事態に陥りました。

大家さんや近隣の住人にバレないように、猫用ボストン・バッグ(なるべくパッと見が分からないようなペット用籠を買ってきました。)に仔猫たちを入れて、ソーッと病院へ連れて行ったり、ペットフードの空き缶や、ペット・グッズを分からないように加工して捨てたり、苦労を強いられる生活でした。
無邪気です。
シンクロして寝てます。さすが親子。
産まれたばかりの仔猫たちの1匹は友人が、2匹は私の実家で飼ってもらうことになり、最終的には2匹になりましたが、私達夫婦は共働きの為、一日中留守にすることが多く、5匹の猫を匿うことはほぼ不可能です。大家さんや近隣にも迷惑をかけてしまいます。
そこで「ペット可物件」を必死で探しました。しかし世の中にはペット可物件が少なく、更に「猫用」物件はほとんどない、ということに気付いたのです。
(更には「同棲不可」という物件が多いことも実感していました。)巷の「ペット可物件」は家賃や店子をキープするために、築年数を重ねた古い物件をそのまま「ペット可」にしただけの物件や、ペット可を標榜していてもその対象が「犬」だったり。
特にチーは元々ノラネコの為、外に出してあげたい気持ちがありました。そうすると近隣に犬がいることは、大半の猫にとってストレスです。そして「自由に外へ出られる」ようなペット可物件は皆無でした。
それで決心したのです。
この子たちの為に「自分たちで建てちゃえ!」と。
弟タマの面倒をちゃんと見るウー。
最終的には目の手術をしたウー(見た感じが鳥のウズラそっくりだったので。)は家の中で飼い、土地探しを開始しました。1年半ほど探していたある日、不動産屋さんから「高井戸に出物がある」と連絡を受けました。なんと住んでいたテラスハウスのお隣でした。ここには長年住んでいます。便利さ、良さを熟知している我々は躊躇することなく購入を決意しました。
土地、売ってました。
私たちが感じたように、猫と楽しく住まえる賃貸を探している人たちに、この環境をシェアしたいと思い、1Fを賃貸にすることにしました。

この頃には、mixiやTwitterなどで猫を飼っている人の意見を聞いたり、愛玩動物飼養飼育士の資格を取得する為の勉強を始めていたので、地域猫の考え方や、人間との共存の仕方など、考え直さなければならないことに気付きました。
安易に外猫にすると、ノミなどの害虫、交通事故、猫同志のケンカによるネコエイズ感染、近隣の糞尿問題など、様々な問題を引き起こします。
コンクリで頑丈な土台に地盤改良。
コンクリに猫の足跡が。この辺りは地域猫が多いのです。
コンペで決めた建築家が最初に持ってきた建築プラン。
そこでGatos Apartmentでは、以下のルールを設定することにしました。 
Gatos Aptは約35平米と、平均的な1LDKよりちょっと大きめにしてあります。
Gatos Aptは鉄骨造です。
これは、私たちが賃貸住まいをしてきた経験と、猫を飼う上での経験からあえて大きめに作りました。(普通の賃貸なら20平米の1ルームにして3部屋作り、収益性を高めることでしょう。だから、この大きさの賃貸がないのです!)この大きさであれば、猫が部屋の中だけで過ごすにしても必要十分な大きさで、人間にも快適な大きさだと思っています。同居する猫は、その子の性格、相性によりマチマチだとは思いますが、3匹が限界であろうと思っています。その代わり、外にちょっとでも出られるよう広めの専用バルコニーを設置しました。
鉄骨、組みました。この後に大震災が…。
何とか部材も調達、でも工期三ヶ月遅れ。

ネコ用トイレは、洗面室に設置するようにスペースを設け、洗面室の扉に猫扉を設置しました。これでいちいちドアを開けてあげる必要がなくなります。宅急便業者が来た時など、玄関からの脱出を防止するための引き戸を設置しました。ベランダの塀は、2mの木を縦組みで設置、猫が爪をひっかけて登れないようにし、スキマをなくして脱出できないようにしました。
(運動神経バツグンな子なら、登ってしまうかもしれないので過信はしないでください。登ってしまいそうなら、ネットで防護して頂いてもOK。)高いところにキャットウォークを設置しました。登るための木製猫棚も造作で設置してあります。ご自身で市販のキャットタワーを購入して頂ければ、ネコジャングルジムが完成します。床は粗相してもすぐに拭き取ることができる素材にしました。
私たちは「ネコも快適、人間も快適」な賃貸を作りたいと思いました。
人間が「人間らしく」、猫が「猫らしく」楽しく住まうことが出来る環境を提供したいと走り始めたGatos Apt。住民は皆、猫好きです。程よい距離感を保ちながら、お互い助け合いながら暮らせる「猫を介した人付き合い」のできるアパートにして行けたら、と思っています。


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ヒトと愛猫の生活情報誌「ねこのきもち」
 
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