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2013年7月28日

大幅予算超過、そして3月11日がやってきた!

 

長い、長い、建築家との打ち合わせ

床の材質、タイル、色、形状、電気設備…とにかく時間がかかります。それにウチは「世界初の猫専用アパート」を標榜しているのです。猫用の設備がなければお話しになりません。あいにくお願いした建築家さん
は猫を飼った経験がなく、我々からアイデアを出して行かなければなりません。「猫と一緒に住む」ために、少しでも快適にするために考えだしたのが、こういうガジェットです。

キッチン反対側にあるテーブルから上に行けます。

ガラス製のキャットウォーク。

ベランダは2mの木を縦に組んで、脱出できないように工夫。

バスルームへの扉に、猫用扉を設置。

猫扉は、牛革製。汚れがすぐ取れます。

ドレッサーに可動式の猫棚を設置。キャットウォークへの導線にしています。

登らせたくない時は、外せるようになってます。


猫と人の為の、数々の工夫。

その1 臭い

猫と暮らしていると、一番苦労するのが糞尿の「臭い」です。猫を飼っている方のお宅を数々見て来ましたが、そもそも、当たり前ですが「人間用」に作られているため、普通のお家は猫のトイレを設置する配慮は全くされていません。その為、多くのお宅でネコトイレをリビングなどに設置している例を多数、見てきました。お世辞にもリビングにトイレがあるのは美しいとは言えず、我々は人間のバスルームにネコのトイレを置けるように設計をお願いしました。一般的に飼っている頭数+1のトイレが必要と言われています。Gatos Aptは、人間用のバスルームに、ネコトイレが3つは置けるように設計されています。(当然、狭くなりますけどね…)臭いは、元々人間用のトイレなので、換気扇での換気と、バスルームの24時間換気を利用し、ダブルで消臭できるようにしました。

その2 夜中に「ねぇ、トイレ!ドア開けて!」攻撃のかわし方

基本的に奇麗好きで、決まった場所でトイレする猫。トイレに行く時間は結構、人間が寝静まってから、ということも。臭いも気になるし、バスルームの扉は締めておきたい、でもそうすると夜中に「トイレ行きたい!」と猫に起こされる…そんな悩みを解消するために、バスルームへ続く扉には、猫用扉を設置しました。こうすれば勝手にトイレに行ってくれて、翌朝までウンチの臭いに悩まされることはなくなります。

その3 3次元に動けるように

猫は左右だけでなく、上下に動きたい生き物です。写真のように様々なキャットウォークを設置、猫が上下左右に動けるように工夫しています。運動不足も少しは解消されるはず。

その4 ちょっとは外に出たい

Gatos Aptに住む猫たちは、家の外には出さない「ウチネコ」限定です。外に出るとトラブルが多いからです。元々ウチネコとして育った猫は、外に出られなくてもあまりストレスを感じることはないと言われています。が、人間側の心情として、ちょっとは外の空気を味あわせてあげたい、と思うもの。その気持ちに応えるよう、猫が自由にベランダへ出られるようにしてあります。大きさも普通の賃貸ではあまりない約8平米の大きなバルコーニーに、高さ2mの塀を設置。爪をひっかけて外に出られないようにわざと縦組にしています。

その5 脱出防止策

ウチネコの場合、飼い主のちょっとした隙をぬって脱出することは日常茶飯事。一番多いのが、来客の際、外に続くドアを開けたとき、スルッと外に出てしまうこと。これを防止するために、脱出防止用の扉を設置しました。ホームセンターに行くとアコーディオン形式の直脱式ドアを売っていますが、大抵高さが足りず、猫は難なくジャンプしてしまいます。(そして格好悪い。)なのでGatos Aptの脱出防止ドアは、完璧に閉められるようになっています。

見積もりをお願いすることになって…

こういうアイデアを盛り込みながら、建築家との打ち合わせが終了しました。次に行うのは、実際に建ててくれる工務店の選定です。建築家が過去に仕事をしたことがある大小様々な工務店へ、一斉に見積もりを依頼しました。
見積もりをお願いしたのは合計5社ほど。数週間後、見積もりが出揃い、総工費に目を丸くすることとなります。なんと当初予定していた総工費の2倍の金額が記載されていたのです!我々のわがままを満載した建物だったので、今思えば、当たり前だったのかもしれません。しかし見積もりを粒さに見てみると、確実に必要のない項目が多数あることにも気づきました。例えば「交通整理のための警備員5名」とか。こういう不必要な部分と、我々の「わがまま」を言っていた部分のダウンサイジングを開始、絶対に譲れない部分と譲れる部分を擦り合わせ、再度、工務店各社へ見積もりを依頼、それでも当初の見積もりからさほど下がることはなく、我々は途方に暮れました。我々でも工務店を探し、最終的に建築家の知り合いから紹介してもらった工務店へ発注することで落ち着きますが、工務店探しに2ヶ月は費やしたと思います。そして総工費は建築家から提示された当初予定していた金額から、1.5倍に膨らみました。

そして3.11の震災が…


金銭の工面を何とかし、ようやく着工へとこぎ着けたGatos Apt、鉄骨が組み上がったころ、あの震災がやってきます。土台や鉄骨に対する被害は皆無でしたが、サッシや木材などの建材が根こそぎなくなってしまいました。最終的にはなんとか工面してもらいましたが、結果、3ヶ月遅れになってしまいました。

建材を施主支給

膨らみまくった総工費を少しでも軽減させようと、「施主支給」を積極的に行いました。つまり工務店に購入してもらっているものを、我々が自分で購入し、納入する方法です。管理が煩雑になるなど、何かと工務店には嫌がられる方法ですが、そんなことは言ってられません。今回お願いした工務店は、いわゆる「街の工務店」です。風呂やトイレ、キッチンなど「付き合いのある業者から安く仕入れられる。」ということで、そういう設備関連を「おまかせ」にしていたのですが、実際に納入しようとしてる設備が、往々にして感覚が古いのです…。例えば賃貸用のお風呂にしても、こういうものを入れようと提案を受けます。
こういうやつ…。(これはGatos Aptのお風呂ではありません!)
提案と言うか…「これでやりますから。」的な…。コレが出て来たときに「これは任せておくとダメだ。」と思い、実際に自分たちで見に行き、自分たちで仕入れて納入する方法をのんでもらいました。建築家、工務店から「普通の賃貸住宅はこれが普通。賃貸の部屋でこんな装備や設備は必要ない。」と何度も言われましたが、人間が快適に暮らせなければ全く意味がないので、我々が「住みたい。」と思える物を基準に導入して行きました。キッチン、水回り用品、エアコン、フェンスなどを施主支給しました。これでかなりの節約ができましたが、非効率的だったり、余計な日数や手間がかかったことは否めません。が、なにより納得感が得られ、こうして良かったととても思っています。こんなビジネスホテルみたいなお風呂、絶対イヤでしたから。

その後、あり得ないような事態を数多く経験しましたが(これはまた別の機会に。)Gatos Aptは着工から16ヶ月後、ようやく竣工に漕ぎ着けます。土地探しから考えると約3年かかってしまいました。

妻は「もう二度と家なんか建てない!」と言っていますが、次はもっとうまくやれる自信があるので、Gatos Apartment 2号店を建てたくてウズウズしている大家です。



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