猫飼い人で、「最近、痰が絡む。」「やたらとダルい。」「首のリンパ付近が痛い。」といった症状を覚える方、もしかしたら猫から伝染する「パスツレラ症」のせいかもしれませんよ。
猫のパスツレラ菌の保有率、100%!
動物から人間へ病気が移ることを「ズーノーシス」と言います。鳥インフルエンザや狂犬病を思い出してみれば「なるほど。動物からうつる病気って、イッパイあるよね。」と納得してもらえると思います。
このズーノーシス、もちろん飼い猫も例外ではないのです。先日のエントリーでもご紹介したトキソプラズマ症、猫ひっかき病、そして今回ご紹介する、このパスツレラ症も猫から移る病気の筆頭なのです。
このパスツレラ菌、なんと猫の100%が保菌しています。なので猫を飼っている人が知らないうちに感染してしまう可能性を多分に孕んでいます。
猫とのチュッチュは、危険?
人間への感染ルートは大きく2つ。
- ひっかき傷や咬まれたところから。
- キス
ひっかかれたり、咬まれた所から感染した場合、30分後位から患部が腫れたり、痛くなったりします。猫ひっかき病もザックリ言うと同じような症状を引き起こしますが、こちらは発症まで約10日かかると言われていますので、ココが大きな違いです。
このパスツレラ菌、猫の口の中に山ほどいます。猫がかわいいあまり、チュッチュしちゃう飼い主さんも山ほどいると思いますが、これやっちゃうと伝染っちゃいますね、ほぼ確実に。あとは顔をペロペロやられるのも感染の原因と成り得ます。
ソト猫じゃないから大丈夫、は通用しない。
近年、パスツレラ症由来の病気が急増しているそうです。完全イエネコとする家庭の増加に加え、気密性の高くなった住環境が要因とか。イエネコだと必然的に猫とのスキンシップが増えますし、飼い主側も「外に出していないんだから、変な病気を持ってこないよね。」という意識が働くのだと思います。勿論、ソトネコよりそのリスクははるかに低くなるので良いことですが、先にも述べたように、猫はこの菌は100%持っているので、外に出られようが出られまいが、関係ないのです。
感染しても症状が出ない。それが問題!
まず猫にはほぼ100%、発症しません。(稀に肺炎を起こす可能性があるそうです。)そして人間には…これまた決まった症状が出ません。「なーんだ!じゃあ移っても大丈夫じゃない!」と思いますよね。でも人によっては危険なんです。例えば、こういう人たちが感染した場合…
- 糖尿病だった人が感染して死亡
- 肝障害持ちだった人が感染して病状が悪化
なんてことが実際に起こっています。つまり元々、危険因子となる別の病気を持っていたり、免疫力の弱い子供や老人が感染した場合、パスツレラ菌が引き金となって他の病気を引き起こす可能性があり、場合によっては命を脅かすことにもなりかねない、ということなのです。
そこまでの症状がでなくても、倦怠感といった軽い症状を(間接的にせよ)引き起こす可能性があります。疲れやすい、眠い、皮膚が痒い、鼻水が出る、といった比較的軽い、医者に見せるまでもないと思っている症状の原因、実はこの菌のせいかもしれません。
必要以上に怖がる必要なし。
とは言え、飼い主さんは必要以上に感染を恐れる必要はありません。まずパスツレラ症自体は抗生物質で治ります。
問題は元々、病気を持っている人、特に糖尿病や肝機能障害を患っている人、その可能性がある人は注意が必要です。
なんにせよ猫とチュッチュするのは、止めましょう。残念ですが。
もし謎の症状が発症した場合、お医者さんに「猫を飼ってる。」ことを申告しましょう。じゃないとDr. Houseみたいなことになるかもしれませんよ。