当たり前のことですが、一般的な住居は「人間が住むことだけ」を考えて作られています。ペットと一緒に暮らすことになった時、悩むことの一つが「ペット用トイレの設置場所」です。今回は猫と快適に暮らす部屋を作るには?〜トイレ編、をお送りします。
ネコトイレは頭数+1が必要?
巷に溢れる猫と暮らすためのガイドブック的なものを読むと、必ず書いてあるのが「例えば2匹のネコがいたら、トイレは3つ用意してください。」という「+1」必要論。確かにネコはキレイ好き。我が家では1週間に1回、ネコトイレを全部バラし、浴室に持って行って水で洗いますが、その様子をウチの子たちは見ていて、掃除が完了して砂を入れると「待ってました」とばかりにトイレをすることがあります。自己弁護すると(笑)決してネコトイレが汚い訳ではなく、真新しくなったトイレでするのが「気持ち良い」らしいのです。と、これくらい猫はキレイ好きな子が多かったりします。
基本的に、ウンチをした場合はすぐにウンチを片付けてあげるのが基本です。複頭いる場合、他の子が先にウンチをして、残ったままだと他の子は、そのトイレでウンチやオシッコをしたがりません。そうすると猫は我慢するのですが、我慢がしきれなくなると、トイレ以外の場所で粗相をしてしまいます。平日日中は働きに出ている忙しい現代人は、付きっきりで猫の世話をすることはできないので、猫が安心してトイレに行けるよう「トイレは+1用意しましょう。」というのが、その論拠かと思います。
ネコはトイレカバーが大っ嫌いです。
それはごもっともで、猫にとっても良いことなのですが、日本の、特に都市部の住環境においてそれだけのスペースを割くことは至難の業です。なので、多くの家庭ではリビングにトイレを設置している方がほとんど。これは全世界共通の悩みのようで、リビングに置いても美観を損なわないようにする商品が数多く販売されています。とは言え格好悪かったり、そこまでこだわりがなかったりと、あまり一般的な商品ではありません。そしてトイレカバーを自作する人たちもいます。
ミッドセンチュリー風。
ラタン調。
もうちょっとDEDON風に作るとか、ないんすかね…。
手作りのトイレカバー。
こちらも手作り。
これも苦肉の策。皆、苦労してます。
どれもこれも「ネコトイレのカバー」なのです。カバーには、こういう利点があります。
- トイレそのものを隠せる。
- ウンチやオシッコの臭いが拡散するのを防げる。
- 猫砂が飛び散らない。
はい、全部人間側の都合です。
最近の商品で多いのがこういうネコトイレ。
形状がドーム型だったり、蓋が付いていて上から入るタイプ。こういうタイプだと「人間の悩み」は一気に解決するので良いのですが、実は猫は嫌いだったりします。その理由は…
臭いから。
覆ってしまうとウンチやオシッコの臭いが籠りますよね。他の子がした臭いが嫌なら自分のも嫌なんです、猫って。笑
なのでネコトイレはオープンタイプをお勧めします。
猫にとって、ウンチは一大イベント
元々は外で暮らしていた猫たち、DNAレベルで「トイレは危険」ということが本能的に刻みこまれています。なにせ一番無防備な状態なので、敵に襲われたら絶対に負けます。負けは死を意味するので、猫にとってトイレは一大決心を迫られる大イベントなのです。なので多くの猫がトイレ、特にウンチの前、むやみやたらに走り回ったり、ニャオニャオ泣いたりしてテンションを上げ、「よし!」と覚悟を決めてからトイレに向かいます。そして作業は迅速に済ませます。用を足した後、砂で隠すのは、痕跡を消すためです。臭いで敵に居場所を知られるのを防ごうとしている、というのが一般的な見解です。
猫のウンチ、びっくりするくらい個体差があります。面白い事に、兄弟、親子で同じものを食べていても臭いが違うのです。経験上、男の子は量も多くて、臭いです。そして女の子は、男の子がした後のトイレを極端に嫌がります。「お父さんが入った後のトイレは嫌!」っていう女子高生と一緒。笑
猫アパートに装備したいネコトイレ・アイデア
この様に、課題は「臭い」と「場所」の2つです。
これらを解消するアイデアをご紹介します。
その1 ネコトイレ設置場所は洗面所に
Gatos Aptの洗面所には人間用のトイレを設置しています。最近の猫砂はウンチと一緒にそのままトイレに流せるタイプも多く、人間の導線として、ネコトイレのウンチをスコップですくって、そのままトイレに流せるようになります。
そして場所を確保するため、こういう洗面台を導入されると良いと思います。
つまり、洗面台の下が空いているタイプのものを導入し、その下のスペースにネコトイレを置けるようにするのです。写真のように壁に配管を通すタイプにすればスッキリするので美観も良くなる上、スペースの無駄を抑えることができますが、一番上の写真の様に床へ通す通常のタイプでも、場所さえ考えれば、左右に2つのトイレを設置することが可能です。
その2 猫専用換気扇の設置
そもそも洗面所にネコトイレを設置する時点で、人間用の換気扇があるため、ここまでする必要はないかもしれませんが、ネコトイレスペースに換気扇を設置する、換気用の小窓を設置できるとベストです。
窓の場合、ここから猫が脱出しないようにする工夫が必要です。
その3 洗面所に通じるドアにネコトビラを設置
Gatos Aptのネコ扉
猫はトイレが近くにあるところでは食事もしませんし、寝ません。なのでトイレはそれ以外の場所に設置する必要があります。人間の洗面所と同じ場所に設置すると、換気を考えて作られているので一石二鳥なのですが、ひとつ問題が出てきます。洗面所に通じるドアを開けっ放しにするかどうするか、です。
猫のトイレのタイミングは、大抵、食後の場合が多いのですが、何故か、夜中にウンチに行ったりもします。トイレへ通じるドアが閉まっていた場合、人間を「起きてー!トイレー!」と騒ぎ、夜中に起こされる羽目になります。それが嫌で開けっ放しにしておくと、今度は臭いに悩まされます。結局、起こされるのです。笑 なので、こういうネコ扉を設置しておくと良いです。ネコも好きなときにトイレに行け、人間も心置きなく眠ることができる、良いことづくめですね。
花王さんにもの申す
私は普段、この商品を使用しています。
「ニャンとも清潔トイレ」。使い勝手もなかなかの良い商品なのですが、不満な点もいくつか…。
ネコトイレの掃除はこまめに
猫が快適に暮らせるように、ネコトイレは常に清潔に保つことが重要です。週に1回は水で洗うことをお勧めします。ここでちょっとTips。洗うとき、洗剤は不要です。猫は匂いに敏感なので、洗剤の匂いが気に食わないと途端にそのトイレではしなくなったりします。洗剤を使うのであれば無香料のものを使うようにすると良いです。
猫可アパート・マンションを目指す大家さんは、お部屋のトイレを猫の習性と、それに伴う人間の行動をいかに快適にするか、を考えて設計/リフォームをされると良いと思います。